ひと筆申し上げます(三十・三・六)

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自宅近くに来客用に借りていた駐車場が
新たな道路に生まれかわるため
使用できなくなりました


ご近所で探していたところ空きがみつかり契約しました


早速 貸し主さんのお宅へご挨拶の品を携えて伺ったのですが 
そのお宅のご主人は幼なじみの年下の男性F君です


ドアを開けるなり「おっ!かよちゃん」と白髪の彼は
昔と同じ親しみをこめた表情で迎えてくださいました

「この度は駐車場を・・・」と申しますと 急に背筋を伸ばし
「いや・・・こちらこそ お世話になります」と丁寧に応じられました
そしてそのあとは「じゃあね」と 
幼なじみの心安さ 温かさを感じお互いにニッコリ!


それから その日の午後のことです
以前の駐車場の貸し主さんが 
わざわざ静岡市からごあいさつに来られたのです


貫禄のある紳士のこの方も幼なじみのSちゃん
「今までありがとうございました」との言葉に
手みやげを添えてくださり、しばらくお話が弾みました


遠いあの頃が浮かびます
彼のお母さまは「うちは男の子三人だから 
自分のためにおひなさんを飾るのよ さ あがりなさい」と
すすめてくださりお菓子を戴いた
あの 縁側の暖かさが
Sちゃんの実家はすでに解体され 整地もすんでいます


遠方に暮らすSちゃんとはもう会うこともないかと思うと
寂しくてなりませんでした


記憶の中の風景が少しずつ減っていることを実感しますが
F君とSちゃんのおかげで「懐かしさ」の幸せに浸ることができました


我が家の庭には 変わらぬ春が見られ 和んでいます


(三十・三・六)





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