独立行政法人労働者健康福祉機構 広島産業保健推進センターの発行する、「かわら版 広島さんぽ Vol.4」に当社代表の森田由美子の記事が掲載されました。
記事全文は下記をご覧ください。
私はこれまでメンタルヘルス対策に取り組む中でずっと思い続けていることがあります。それは、「病気の方への支援はもちろん、病気にならないための心の基礎体力をつける支援をしたい」ということです。具体的には個人と組織の活力に焦点を当てることです。
厚生労働省の新職業性ストレス簡易調査でも、その概念にあたる「ワーク・エンゲイジメント」が入っています 1,2)。「ワーク・エンゲイジメント」は、オランダのシャウフェリらによって「バーンアウト(燃え尽き症候群)」の対称概念として提唱されました 3,4)。バーンアウトすると人は疲弊し仕事の熱意が枯渇しますが、ワーク・エンゲイジメントが高い人は意欲と活力にあふれており、仕事に積極的に取り組むという特徴を示しています。バーンアウトの仕事に対する考え方や動機は、「忙しく働いていないと不安だから」ですが、ワーク・エンゲイジメントの場合は、「仕事が好きだから、楽しいから」というのが動機になります。人は存在を尊重されるところから熱意や意欲がでてきます。
私は現在、組織と個人の強みを活かす活動を「メンタルタフネス」として実施しています。組織対象の例としては、「強み診断」を社員さん全員にしてもらった時、「社内で個々の強みが共通言語になった」と、その会社の部長さんが驚かれたことがあります。自分の強みを知り受け入れることができると、他者を本当の意味で理解し受容することにつながることを、私は受講生の方々から学びました。それは人間関係の向上にもつながります。
まずは、皆さんの周りの方のよいところ、できているところに焦点を当ててみませんか。これまで見えなかったものが見えてきます。初めて出会った方々で強みを使ったワークをすることがありますが、その時のわずかな自己紹介だけでも相手のよいところを皆さん探して話されます。初めて会った人の良いところさえそうなので、いつも一緒にいる人の良いところは見る気にさえなればきっと見つかります。周りの方の良いところ、できているところを見つけるところからポジティブなメンタルヘルス対策を始めてみませんか?
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1) 川上憲人、他: 厚生労働省厚生労働科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業 2012 労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防の浸透手法に関する調査研究(平成21-23年度総合研究報告書)、P253~P358
2)新職業性ストレス簡易調査票の解説 川上憲人 井上彰臣 産業医学ジャーナル Vol.35 No.6 2012 P4~P14
3) 島津明人: 職場のポジティブ心理学:ワーク・エンゲイジメントの視点から、産業ストレス研究、16巻3号、131-138、2012
4) ウィルマー・B・シャウフェリ、ピーターナル・ダイクストラ: ワーク・エンゲイジメント入門、島津 明人、佐藤 美奈子(訳)、星和書店、2012
(特別相談員(カウンセリング) 森田 由美子)